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「今はいつのことか―小村雪岱と玉山拓郎」が、東京・銀座の資生堂ギャラリーで開催される。会期は11月3日から2027年2月28日まで。
小村雪岱は、大正から昭和初期にかけて活躍した美術家。現在も資生堂で使われている「資生堂書体」や、和文ロゴタイプの基礎の成立に関わるなど、資生堂と深いゆかりをもつ作家だ。モダンで繊細、余白を生かした雪岱の作風は、近年、全国で回顧展が開催されるなど再評価が高まっている。いっぽう玉山拓郎は、立体的な造形や光、映像、音を組み合わせたインスタレーションで国内外から注目を集める現代美術家。本展では、1919年の開廊以来、銀座を見つめてきた資生堂ギャラリーという空間で、約100年の時を隔てた2人の表現が出会う。企画は国内外で活躍する新進気鋭のキュレーター、金秋雨が手がける。
本展のタイトル「今はいつのことか」は、雪岱が晩年の随筆「古寺巡り」に記した「現在が今の事か昔の事か分らなくなる」という一節に由来する。独特の余白を生かした雪岱の表現には、過去と現在が重なり合うような時間感覚が息づいていると言えるだろう。
見どころは、玉山が雪岱の作品や思想、そして雪岱が生きた時代の銀座から着想を得て、本展のために制作した新作インスタレーション。すりガラスを通した光、半透明の布、磨き上げられたステンレスの鏡面という3つの要素で構成される。光や像、境界が絶えず変化する空間のなかで、観客の視点や身体の動きに応じて風景が移ろい、「過去」「現在」「未来」が折り重なる時間感覚を体験できる。

会場では、雪岱が資生堂在職時に手がけた3つの作品に加え、雪岱が活躍した当時の銀座の映像や資料も紹介する。資生堂意匠部や、昭和初期を中心に文豪・泉鏡花を囲んで開かれた小説家のサロン「九九九会(きゅうきゅうきゅうかい)」など、雪岱と深く結びついた銀座の記憶。それが玉山のインスタレーションと響き合い、銀座という場所に積み重なった時間そのものを体験する展示となる。
銀座で、100年という時を越えたコラボレーションが実現する本展。玉山のインスタレーションが雪岱のまなざしを現代へとひらく、その体験に注目したい。